潰瘍性大腸炎は大腸の粘膜に炎症が起こり、潰瘍やびらん(ただれ)ができる病気です。今のところ病気の原因は不明で根治療法がないため、国から指定難病に認定されています(2016年現在患者数は約18万人です)。
 適切な内科治療によって多くの人は炎症が治まり「寛解」状態となって普通の生活を送れるようになりますが、どんなに適切な治療を行なっても、しばらくすると再び炎症が始まり便に粘液や血液の混じる「再燃」が始まってきます。「再燃」と「寛解」を繰り返すことが潰瘍性大腸炎の大きな特徴です。
 治療には、サラゾピリン、ペンタサやアサコールなどの5-ASA製剤が先ず処方されます。それでも「寛解」に至らないときにはステロイドの内服や注腸・坐薬、そして免疫調節剤、更にレミケードやヒュミラなどの抗TNF-α抗体製剤などが処方されます。また、これらの薬剤の効果が期待できない人には白血球・顆粒球除去療法(LCAP,GCAP)等も行われます。
 強力な内科的治療でどうしても「寛解」状態にならない人、「再燃」の度に入退院を繰り返す人等、社会生活上特に支障の大きい「難治性」の人には手術が必要になる場合もあります。
 炎症の範囲を大腸全体に拡げてしまうと治療期間も長期化し、生活に大きな支障を来しますので、「再燃」のサインがあれば早く治療を始めて炎症をできる限り狭い範囲で抑えることがこの病気と上手に付き合っていくコツと言えます。